
WCS2025MD部門に出場しました。結果はチーム成績3勝2敗で惜しくも決勝トーナメントへ進むことは出来ませんでした。今回WCS2025に持ち込むデッキを決めるうえで考察した内容や調整の話をメモとして残しておきます。
このWCSルールは一般のMDプレイヤーには馴染みの薄いものかもしれませんが、少数ながらユーザー主催の非公式大会でも採用されていることもあります。僕も何度か参加させて頂き、優勝もしています。参加する時はいつもチーム全体のデッキ選択やカードの振り分けを中心となって決めているのでWCSルールに対する知識はある方だと思っています。
wcsルールの大会優勝しました
— むぎ (@mugiYP) 2024年1月13日
全試合烙印使って個人7-1
さくまさんとしんいちありがとうございました pic.twitter.com/7iHmpoE33p
M鯖CS優勝
— むぎ (@mugiYP) 2024年3月16日
ゆきさんとカズカズさんにキャリーされました
第1回に続いてM鯖CS2回目の優勝で嬉しい@8322_NEKANA @kazukazukamo pic.twitter.com/CzHkrOzWb8
EXW杯3on3
— むぎ (@mugiYP) 2025年4月19日
個人7-3 チーム5-0で優勝しました
さくまさんとRainさんありがとうございました pic.twitter.com/ikvrIL8dyR
WCSルールについて
ルールを知らない人もいるかもしれないので軽く説明しておきます。詳しくは公式から確認してください。
・3人チーム戦
・総当たり計9戦中5戦勝利したチームの勝ち
・チーム内で情報共有可
・1人2デッキ登録でき、毎試合どちらを使用するか選べる
・6デッキ合計で3枚までしか同名カードを入れられない(制限は1枚、準制限は2枚)
・3種類まで何枚でも入れられる"シェアカード"を指定できる
2025年8月環境について
2025年8月のMDレート環境を一言で表すとライゼオルとMALICEの2強といったところでしょう。分布で見てもこの2つが圧倒的に多く、今大会の中心になることは間違いなかったでしょう。海外で行われているWCSルールの大会ではメメントが3番目のシェアになることが多く、上2つとは大きく離されているものの3番手争いの中では半歩抜けている印象でした。
デッキ選択について
基本的な構成の方法と6デッキの強さを均等にするのではなく各個人1つずつメインとなるデッキに集中してデッキを作ります。その後、弱点を補完するサブデッキを作ります。なぜなら使用できる汎用カード(特に誘発)の数には限りがあり、6デッキに均等に振ってしまうと全てのデッキが中途半端になってしまうからです。その上極論1つのデッキをずっと使用し続けることも可能なルールなので6デッキを均等にするのではなく3デッキに集中するのが良いとされています。
またシェアカードについては長らく増殖するG、灰流うらら、墓穴の指名者が最有力の組み合わせとされており、非公式大会の優勝もこの組み合わせが非常に多かったですが、近年ではその傾向が高まっており今後さらにこの組み合わせが鉄板になっていくと思われます。その理由として以前はGうららに次いで3番目のシェア候補に挙げられることもあった無限抱影ですが、インフレが進み無限1枚で止めきれないデッキが増えたことやマルチャミーやドミナスといった誘発の種類が増えたことから無限をシェアしなくても3デッキに誘発を入れることがしやすくなったことで無限の価値が下がりました。また、ドロー系誘発であるマルチャミーが増えたことにより墓穴の価値が上がったことも原因の1つです。そのため今大会のシェアカードもGうらら墓穴の組み合わせで決めました。
今大会におけるメインとなるデッキとしてライゼオルとMALICEはすぐに決まりました。環境的にも非常に強く、ほとんどの相手に五分以上の戦いができる点やこの2デッキで使用するカードがあまり被らない点も魅力です。
3人目のメインとなるデッキ選択は非常に難航しましたが、ライゼオルとMALICE両方に勝ち越すのは不可能だと感じました。そのためどちらか片方だけに絞ってそちらを重く見て、もう片方の対策はサブデッキに任せることにします。対MALICEはロンギヌスやニャルスといったピンポイントメタである点に目を瞑れば効果的な誘発があるので対MALICEをサブデッキに任せてメインとなるデッキは対ライゼオルを考えて選択することにしました。とはいえ相手チームの3人目(海外ではメメントが有力候補)との対戦でもメインとなるデッキを使用しなければなりませんのでピンポイントメタは入れにくいです。ここで求める条件はこのようなものでした。
・先攻で展開が通ったらどんな対面でもある程度勝ち切れる盤面の固さ
・ドロールや拮抗といった1枚で盤面を弱めれるカードを入れれるスロット
・デッドネーターやバグースカ単騎を超えやすいギミック
・安定感
ここで目を付けたのがデモンスミスギミックでした。トラクトゥスを3枚、魔を刻むを2枚入れることで計5枚からサタンクロースをサーチできるのでデモンスミスギミックが初動兼貫通札兼除去札になります。またサタンクロース以外にもディエスイレやリトルナイトでバグースカを処理できるのでデモンスミスを引いていない時もリンク値からバグースカを倒すことができる可能性があることも優秀です。これにより後手の除去札を入れると失われがちな先攻の固さや安定感をキープしやすいと感じました。
これによりデモンスミスギミックを採用したデッキを使うことはほぼ決まったのですが、デッドネーターに抗いやすく且つ先攻が固いメインギミックの選定で悩みましたが最終的にティアラを選択しました。
前述した通りティアラでMALICEに勝ち越すのは難しいのでティアラのサブデッキに対MALICE用のデッキを用意します。サブデッキなのでロンギやニャルスといったピンポイントメタも採用できます。世間では海皇をこの枠に採用するのが一般的で単純なデッキパワーの高さやMALICEの裏にいる可能性のある閃刀天盃を牽制しMALICE対ロンギニャルスの勝負に持ち込みやすいことが利点として挙げられます。しかしMALICE側の採用率が高めなドロールが重めという欠点も存在しMALICE対ロンギニャルスに持ち込んだ後では最適解ではないと考えました。
個人的に求めた条件は以下の通り
・先攻で展開したらMALICE相手に勝ち切る盤面の固さ
・ロンギニャルスを入れられるスロット
・ロンギやニャルスを撃ったゲームでMALICEの妥協妨害を超えやすいこと
この条件を満たすデッキとしては粛声を選択しました。先攻はサウラヴィスの召喚無効がMALICEに対して強くサウラヴィスの召喚無効を2回用意すればMALICEギミックが1ターンに用意できるリンク値を完封できるのでローガーディアンの無効をそれらを通すために温存できます。そのため先攻の固さは文句なしです。後攻もロンギやニャルスを撃った時にMALICE側がやりやすいランサム+インザミラーという構えに対してサウラヴィスでインザミラーを弾くことで07の妨害も消せるのでロンギやニャルスを撃ったゲームを勝ちまで運びやすいと思います。
MALICEのサブデッキには対ライゼオル用のデッキを用意します。MALICEの誘発構成的にデッドネーターの成立を止めることは難しく、デッドネーターをギミックで超えることも難しいです。さらにセブンスタキオンからサーチする用にロンギが採用されている可能性もあり、負け越す可能性が高いからです。メタトロニオスやドロールを採用している構築ならライゼオルに有利を取れると感じましたが今回はティアラにドロールを譲っているので大人しくサブデッキに任せます。残りのカードプールは誘発があまり無く捲り札が大量に余っているので対ライゼオルデッキとして閃刀天盃にしました。双仔が実装されていないことも相まって捲り札で戦うアプローチは悪くなく、対ライゼオルは勝ち越せると感じました。もし相手側のロンギが入っているMALICEメタデッキが粛声だった場合、粛声に閃刀天盃で行けることも利点です。
ライゼオルのサブデッキは対閃刀天盃専用のデッキを用意します。誘発がたくさん入っているライゼオルは基本ほとんどの対面で5割近い勝率を維持できるためサブデッキを出すよりはライゼオルを出すことになります。しかし対閃刀天盃はコイントスに影響されないので先攻が強いデッキを使用すれば勝率9割すら目指せます。最初は先攻ワンキルデッキの中で1番強そうなギミックパペットを候補としていましたが最終的には先攻ワンキルではないディアベルゼ型のメメントになりました。対閃刀天盃においては先攻ワンキルでなくともディアベルゼ型メメントは高い勝率を出すことができ、万が一相手が閃刀天盃ではないもう一つのデッキを使用してきた際を考慮に入れてデッキ選択をしています。恐らく対ライゼオル用閃刀天盃の相方はライゼオルよりMALICEになる可能性が高いと思っており、MALICEが採用しやすいビーステッドやインパルス、ドロールといった誘発をギミックパペットより軽く受けられるメメントの方が相手の両デッキを考慮した時に使い勝手が良いと感じました。また、小人のいたずら+アリアスといった構成のラビュリンスも対ライゼオルとして出てくる可能性があり、それに対し同じエクシーズテーマであるギミックパペットの場合メタが被ってしまう問題点もメメントは解決しています。
といった考察を経て今回持ち込む6デッキを選定していきました。
mugi ライゼオル+メメント
Rain MALICE+閃刀天盃
さくま ティアラ+粛声
構築について
ここからは構築について触れていきます。
ライゼオル

誘発はGうららに加えて無効系ニビルフワロスプルリアを採用しました。無効系ニビルフワロスプルリアといったカードはどれも単体での効力は薄いですが、無効系+プルリアや無効系+ニビルのように組み合わせることで効力が非常に上がります。そのため誘発を多く採用できるスロットのあるライゼオルにそれらをセットで採用することにしました。また個人的には初動が足りていないと思っているので誠意を見せてスモワまで採用しています。最初はスモワ2枚で41枚にしていたのですが後手は誘発を撃つ関係でスモワのコストになるモンスターが少なく明確に弱い場面が多かったので40枚に抑えてこの形になりました。
対面のデッキが分からない時はデッドネーター+相手ターンバグースカといった盤面を作るのが無難だと思っていますがWCSルールでは相手のデッキが分かっていることも多く、その場合は構え方を変えることでより固い盤面を作れると思っています。
例えばライゼオルミラーにおいては通常の構え方だと指名者でバグースカの成立を防がれると捲られる可能性が生まれます。またそれを嫌って自ターンにバグースカを出すと6枚目の無限で捲られる可能性が残ります。そこでデュオドライブ+フォトンブラスト+バグースカ+クロスという構えが良いと感じました。一滴や拮抗しか回答がなく一般的な構築では突破不可能です。
対MALICEにおいてはデッドネーターを素材の数だけちゃんと効果使いきれれば勝ち切れることが多いです。そのためMALICE側はインザミラー、無限、メタトロニオス、ドルイドといったカードでデッドネーターを安く踏みたいはずです。そのためデッドネーター+フォトンブラストと構えることでデッドネーターを確実に最大回数使えます。
対烙印においては盤面で1番効力のあるバグースカ+盤面以外の妨害を集めるデュガレス+プラグインという構え方が良いと思っています。実際超融合+一滴されたゲームも勝ち切れました。
バグースカとデッドネーターのどちらかだけでもその対面にきつい方がアクティブになれば勝ち切れるという設計思想から対面不明の時にデッドネーターとバグースカの両方を構えていたレベル4×4をフォトンブラスト+デッドネーターorバグースカにします。そのためにフォトンブラストを採用しました。
その他のエクストラについてドナはニビル用にも欲しいですがそれ以外もバグースカの睨み合いから能動的に脱却できるカードは採用したかったです。またバグースカ単でいなした返しにバグースカを立ててアーゼウスへ行くシーンも一定数あると感じたためアーゼウスを採用しています。ティフォンは召喚条件を満たしながらデッドネーター単騎にすることが不可能と感じたためこの構築での優先度は低いと感じました。

1枚初動から作れる盤面は魔法罠破壊4回+ウーサで対閃刀天盃に有利ではあるが確実に勝てるとは言えないものだと思います。そのためマスカレーナを採用しギミック被りからリンク値が伸びる時に5回目の魔法罠破壊をできるようにしました。これによりメメントネームの重ね引きから魔法罠5回破壊+ウーサを用意できるので伏せられたカードを全部破壊したとしても相手は最後の1枚でウーサを超えながら初動を通さなければいけないのでかなり勝ちに近づきました。大参上のような初動のかさましをただの事故軽減だけでなく盤面強化にも利用できるということで対閃刀天盃には1番良いアプローチだと思いました。軽く計算しただけなので間違いあるかもしれませんが恐らく初動率は97%くらいなはずなので悪くない数字です。
MALICE

MALICEはインパルスやアトラクターといった採用できるデッキの種類が少ない癖強誘発を使えることも利点です。それらに加えてMALICE対面と分かっている相手がしてくるスタンバイロンギを弾けるγや自分の展開にも利用できるビーステッドも相性が良いのでそれらの誘発を採用しました。ドロールも相性良いと思いますが今回はティアラに譲りました。そのため1番Gに対して脆いデッキとなったので抹殺はMALICEに採用し、フワロスも抹殺用に1枚採用しました。
閃刀天盃

ライゼオル側がフォトンブラスト込みの盤面を作ってきた際に腐るカードが多いことは懸念点ですが皆既一滴をドロー系で探す形である程度対応できており、日本アジア以外の地域のライゼオルはデモンスミス入りが主流でフォトンブラストが入っていないと想定されることもあり気にしすぎないようにしていました。(実際は日本アジア以外にも普通のライゼオルはいたしシズクでフォトブラを突破出来ることを知らなかった)メタトロニオスは元禄の制約に引っ掛かり、元禄の後にスラスターからバグースカを出されると回答にならないことを気にしていつでも発動できるオーバーディレイを優先しています。
ティアラ

自由枠にはドロール拮抗といった1枚でライゼオルの展開を弱らせることができるカードを優先して採用してサタンクロースで捲れる盤面にすることを目指しています。ネクロイップにはバグースカ中や女ラクリモーサが落ちた時にスミスのみでリトルナイトを含むリンク2を出す役割もあります。
粛声

デッキ選択の項でも書きましたがロンギニャルスGといったカードを通した後手のゲームを拾いやすいこととギミックのみの妨害で先攻を勝ち切ることに重きを置いています。永続はサウラヴィスでトロフェニから守れることを利点として鉄壁ではなくセンサーにしています。
実際にプレイしてみた感想
実際にやってみて感じたことは普段参加している非公式大会より読み合いの要素がとても強いなと感じました。お互いのサブデッキまで判明している状態から対戦が始まることはWCS以外では基本ありません。お互いの構成が割れる前は普段と同じように〇〇には△△、といった思考がうまく働きますがお互いの構成が割れた後では読み合いが発生してしまいます。今回はその読み合いが上手く噛み合わないことが多く、もっと自分達の作戦の完成度を信じて強気な択を取るべきだったなと反省しています。その違いは結果にも顕著に現れていて午前中はチーム2-0で折り返したものの午後はチーム1-2と失速してしまいました。もしまたWCSに出られることがあったらお互いの構成が割れた上での読み合いにも強い構成を考えたいことと読み合いの駆け引きを上手くやってみたいと感じました。
最後に
今までの知識を活かしてWCSの舞台でこのルールをプレイ出来たことは良い経験になりました。応援してくださった方に良い報告を出来ないことは残念ですが、とても力になっていました。本当にありがとうございました。何かありましたらTwitterのDMまでよろしくお願いします。
https://x.com/mugiyp?s=21&t=QDcyT9ui3dkuYgf7zxEssQ


























